上原沙也加『眠る木』
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上原沙也加 / Sayaka Uehara
『眠る木 / Sleeping Trees』
Book Design:鈴木千佳子
発行:赤々舎
Size:H219mm × W205mm
Page:160 pages
Published in December 2022
ISBN:978-4-86541-159-1
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沖縄で生まれ、再びその地で暮らしながら写真を撮る、上原沙也加の初写真集。
身近な街を歩き、ときにバスで離れた街に降り立って撮影する風景には、ほとんど人は写っていない。
マネキンの指、レストランの客席、ジュークボックスを掠める機影、布貼りの聖書、マクドナルドのサイン......。
すべて日常的な光景は人の営みを湛え、声なき声で語りかけられているような気配を帯びる。自分の生活の場所から、それぞれが経てきた時間を想像するような地続きの眼差しが、写真にある。
いくつもの痕跡を秘め、歴史の層を重ね、存在が消失してもなお、そこに在る風景。複雑な時間への回路と、沈黙の奥にある痛みを写真は指し示す。
タイトル『眠る木』は、本書に収められたさまざまな木のシルエットと同時に、ギンネムを殊に想起させる。
又吉栄喜が小説「ギンネム屋敷」の扉に、「終戦後、破壊のあとをカムフラージュするため、米軍は沖縄全土にこの木(ギンネム)の種を撒いた」と記すように、沖縄のどこにでも繁茂しているギンネム。土地に根を張ったこの木から、フェンスのような表紙の模様は施された。その上に、明暗のあいだに浮かびながら、マネキンの指の写真はある。
2026年1月24日 重版出来
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"上原沙也加は、沖縄というものを決して理想化しない。上原の撮る沖縄はどれも優しいが、しかしその底には、断固たる強い決意がある。お仕着せの話法を使うのではなく、あくまでも自分の目で見た、そこにある沖縄を撮るのだ。そしてそれが、例えようもなく美しい。おもろまちのモノレール駅や免税店をそのまま写すことで、これほど美しい作品になるとは、誰も想像もしなかっただろう。ここに写されているのは、あくまでもふつうの、どこにでもある、しかしほんとうに美しい沖縄の姿である。"
『眠る木』帯文 より
岸政彦(社会学者・作家)
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"風景とは自然と人間との関係だと地理学者であり思想家のオギュスタン・ベルクは言ったが、風景とは自然と人間と時間とそこで起きたことの関係であると今の私は思う。見えるものと見ることができないものと想像することで見ることができるものを、結び、関係させ、出会うことを可能にするのが、写真なのかもしれない。 どうすれば「見る」ことができるのか。 写真の中にあるそれを、私は探す。"
『眠る木』寄稿
柴崎友香(小説家)「そこで起きたこと そこで続いていること」より
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" 『眠る木』には、前世代の物語のその後を、写真という光の鉛筆によって加筆した、といっても的を外したことにはならないはずだ。あたかもこの地に根づき、長い時のなかで繁茂したギンネムが繁茂の果てに〈眠る木〉に変わるように、「記憶素」 や「歴史素」や「経験素」などいくつもの〈素〉の 呟きや瞬きをレンズの詩学に翻訳していったのだ。(中略)
『眠る木』によって、写真とは哀しみと淋しさを織るメディウムであること、そして写真とは旅であることを思い知らされる。亜熱帯の光と色の〈あいだ〉を調律するニューカラーな上原沙也加の路上の光学にして詩学は、写真集のページを繰る者の眼の経験を新しくしていくだろう。"
『眠る木』寄稿
仲里効(映像批評家)「路上の詩学 ニューカラーな邦のさみしさの思想」より
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上原沙也加
1993年沖縄県生まれ。写真家。2016年、東京造形大学卒業。同年、消費の対象として作り上げられた「沖縄」の記号的解釈による既存のイメージではなく、誰かの生活の延長線上にある地続きの場としての沖縄の日常の風景を捉えようとしたシリーズ「白い季節」を発表。2019年、写真プロジェクト「沖縄写真タイフーン〈北から 南から〉」に選ばれ、東京・沖縄の二会場にて展覧会「The Others」を開催(キヤノンオープンギャラリー 1、INTERFACE - Shomei Tomatsu Lab.)。風景のなかに立ち現れる記憶や傷跡、場所が保持している時間の層の断面を捉えようと試みる一連の写真を展示した。 2020年、同作で第36回写真の町 東川賞新人作家賞受賞。
2026年「あざみ野フォト・アニュアル2026:たとえすべての瓦礫が跡形もなくきれいに片付けられたとしても」(横浜市民ギャラリーあざみ野)、「前の浜」(MISA SHIN GALLERY)を開催。
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